Story

聡史・哲史・崇史は幼稚園のころからの幼なじみ。その容姿や性質のために人気者で、良くも悪くも目立ってしまう三人には、実はそれぞれ秘めた痛みがあった。
聡史は出生に秘密を抱え、そのために親から愛されずに育った。哲史は崇史から離れることができず、いつかくる別れの影におびえている。崇史は他人から必要とされるがゆえの、絶対的な孤独を抱えていた。
誰もがひとりよがりで、幼かったあの頃。けれどそれでも、それぞれに孤独や痛みを抱えながら、懸命にもがいて生きていた。

切なくて鮮やかな、高校生の物語。


characters(年齢は最新話時点)

垣 聡史(かき・さとし) 18歳(6/12)
崇史・哲史とは幼稚園からの幼なじみ。生まれも育ちも大阪でありながら、流暢な標準語を操る。自己中心的で冷淡な性格だが、一方で繊細かつ努力家。実は出生に重大な秘密を抱えている。母親は莉菜、6歳年上の兄は譲。

笠岡 崇史(かさおか・たかし) 17歳(12/10)
聡史とは幼稚園からの、哲史とは母親同士が親友であるため生まれた時からの幼なじみ。聡史や哲史のおかげで常に面倒事を背負い込まされ、その後始末も担わざるを得なくなっている。自然にひとを包み込むことのできる性格。

香芝 哲史(かしば・てつし) 17歳(12/25)
聡史とは幼稚園からの、崇史とは生まれた時からの幼なじみ。両親が共働きで、幼い頃はほとんど崇史の家に預けられていた。崇史に心酔しているが、聡史に対しては少し屈折した感情も抱く。

柳原 歩美(やなはら・あゆみ) 17歳(1/17)
1年のころから三人組と同じクラス。1年の時にふとしたことで哲史と関わって以来、崇史とともに事後処理班に回されがち。普段はやや冷めた普通の子。友達は取り立てて多い方でもないが、信頼は厚くよく頼られる。

澤幸 芙紗子(さわゆき・ふさこ) 18歳(4/5)
3年進級と同時に崇史たちの学校へ転校してきた。夏期講習中に崇史に出会う。めったにないほどの知的な美人で、言いたいことははっきりと言う、さばさばした性格。聡史とは敵対しがちで、桔平とはあらゆる意味で盟友。

各務 桔平(かがみ・きっぺい) 18歳(9/19)
2年の時、聡史と同じ委員会に入っていたことがきっかけで、三人組と仲良くなった。一般人でありながら、聡史と対等に渡り合う度胸を持つ。ひと当たりがよく交友範囲も広い。

藤代 達也(ふじしろ・たつや) 17歳(11/28)
3年時に崇史たちと同じクラスになる。崇史とは隣の席になった誼でちょくちょく喋る。人当たりはいいが、誰とでも仲良くなるわけではない。三人組とは過去につながりがあった。

垣 譲(かき・ゆずる) 24歳(10/8)
聡史の6歳年上の兄で、幸助と莉菜の長男。中学卒業後上京して惹莉のもとに下宿、以来ずっと東京暮らし。車の免許を取得後、最低でも月に一度は聡史の様子を見に帰ってくる。惹莉と莉菜の秘密を知っている。「擦過」にも登場。

垣 莉菜(かき・りな) 44歳(7/8)
聡史の母。聡史の出生に関して秘密を抱え、そのため聡史を愛せずにいる。譲にもある種の後ろめたさを感じているため、なかなか会いに行くことはできない。現在はフランス在住。「星と血の渦」「擦過」にも登場。

笠岡 恵子(かさおか・やすこ) 43歳(10/18)
崇史の母。普通のおばちゃんだが器のでかさは並大抵ではない。自宅で小さなカフェを経営。明珠とは高校の時に出逢い、以来大親友。哲史や聡史のことも崇史と分け隔てなく扱う。夫の扱いには慣れきっている。

笠岡 祉春(かさおか・ちはる) 43歳(3/29)
崇史の父。自分の容姿に絶対の自信を持ち、自己中心極まるが、どこか憎めない。恵子とは同級生で、高校の時に出逢って以来ぞっこん。自分と瓜二つの容姿で恵子の性格を受け継いだ崇史を「人類の最高傑作」と称して憚らない。

香芝 明珠(かしば・はるみ) 44歳(5/14)
哲史の母。家事は苦手だが、仕事には情熱を傾ける。美人で相当ひねた性格。恵子とは高校以来の大親友で尊敬している。祉春とは高校の途中まで付き合っていた。哲史のことも幸也のことも大切だが、素直に行動に表せない。

香芝 幸也 (かしば・ともや) 44歳(4/20)
哲史の父。いたって常識的で善良ないち小市民。大学時代に恵子・明珠・祉春の三人組と出逢った。哲史に対しては、時間がなくてなかなか構ってやれないことで申し訳なく思っている。

蓮実 惹莉(はすみ・わかり) 40歳(6/21)
莉菜の腹違いの弟。しかし父親の認知を受けておらず、母親が離婚したため戸籍上は莉菜とは他人。東京でマンション経営と翻訳の仕事をしている。譲と梨杏は店子。「星と血の渦」「擦過」にも登場。

谷山 時雄(たにやま・ときお)
初めて担任を持つにあたって三人組のクラスを引き当ててしまい、以来3年間三人組の担任となってしまった不運の持ち主。特に哲史の進路に関して心配事が尽きない。崇史に時折愚痴を聞いてもらってストレス発散をしている。



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